税理士法人 良知 コラム

2018年3月20日 火曜日

『営業CFがマイナスの場合の資金調達について』

『営業CFがマイナスの場合の資金調達について』・・・資金繰り表を使ってマイナスの要因を明確に説明しましょう。

銀行員から「営業キャッシュフローがマイナスなので・・・」と、言われることが多々あります。

営業CFがマイナスとは、キャッシュベースの営業収入が営業支出を下回っている状態ですので、財務分析上は、悪い兆候と受け取られます。主に、「営業状況が悪く、資金繰りを圧迫しているのでは?」という兆候です。しかし、先行投資を積極的に行い、売上高を急激に伸ばしている会社も、営業CFがマイナスになることがあります。

先行投資によりキャッシュフローがマイナスになっている場合は、先行投資を止めれば、いつでもキャッシュフローをプラスに転じることが出来ます。営業不振によるものとは全く違いますが、営業CFがマイナスの企業は、総じて悪いイメージを持たれます。

粗利率30%、販管費支出が月100万円の通信販売事業者のケースで考えてみます。100万円の販管費支出をカバーするには、100万円の粗利益が必要ですので、最低でも、233万円の仕入れを行って、333万円の売上高を獲得しなければなりません。

もし、営業不振により、売上高が300万円しか獲得できなければ、当然33万円の資金赤字となります。(営業収入300万円-仕入233万円-販管費100万円)

しかし、営業が好調で400万円の売上高を獲得していても、さらに500万円の売上高を目指して、350万円の仕入れをしていれば、50万円の資金赤字となります。(営業収入400万円-仕入350万円-販管費100万円)

前者の場合は、他人が買ってくれなければ、営業CFをプラスに転じることは出来ませんが、後者の場合は、400万円の売上高に合わせて、仕入れを280万円に抑えれば、いつでも20万円の営業キャッシュフローを確保できます。

このことを銀行に理解してもらうためには、資金繰り表が有効です。資金繰り表を示して、「もし、ここの売上高が予想を下回っても、仕入れを抑えれば営業CFはプラスになります・・・」という風に、シュミレーションを交えて説明すれば、「なるほどそういうことか!」と理解してもらえます。

もちろん、営業CFのメカニズムを理解した上で、「先行投資を目一杯行う。」という経営スタンスをリスクと捉える銀行員もいます。しかし、冒頭のセリフ「営業キャッシュフローがマイナスなので・・・」から始まっても、最終的に資金調達が出来た事例は1つや2つではありません。


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2018年3月19日 月曜日

『経営者保証ガイドライン対応保証制度について』

『経営者保証ガイドライン対応保証制度について』・・・一定の要件を満たせば個人保証が不要になる保証制度です。

殆どの経営者様が、会社の借入に対して個人で連帯保証をしています。連帯保証人は、会社が返済できなくなった時、個人の資産を処分してでも返済をしなくてはなりません。また、保証債務は、相続により相続人に引き継がれますので、奥様やご子息にも負担がかかる可能性があります。大変重たい制度です。
このような重たい連帯保証制度が、中小企業の思い切ったチャレンジや円滑な事業承継を阻害しているとして、2014年に「経営者保証に関するガイドライン」がまとめられました。経営者保証に依らない融資に取り組もうという内容です・

日本政策金融公庫は、ガイドラインに沿って、早い段階から経営者の保証を取らない融資に積極的に取り組み始めましたが、信用保証協会と民間の金融機関は消極的というイメージでした。
しかし、ここ最近、信用保証協会も、ようやく経営者保証を取らない保証制度に取り組むようになったと感じます。

経営者保証を取らない信用保証協会の制度を利用するには、次の要件を満たす必要があります。

1.法人と経営者個人の資産・経理が明確に分離されている。
2.法人と経営者の間の資金のやりとりが、社会通念上適切な範囲を超えていない。
3.法人から適時適切に財務情報が提供されており、本制度による保証付融資を実行後も提供すること。
4.法人のみの資産・収益力で借入返済が可能であると判断しうるものとして、次の「無担保無保証要件」または「有担保無保証人要件」のいずれかに該当すること。

■無担保無保証人要件
以下の1を充足し、かつ2または3のいずれか1項目を充足すること。
1.自己資本比率が20%以上
2.使用総資本事業利益率が10%以上
3.インタレスト・カバレッジ・レシオが2.0倍以上

■有担保無保証人要件
以下の1および2をともに充足すること。
1.上記の無担保無保証要件1~3のいずれか1項目を充足すること。
2.法人及び経営者本人等が所有する不動産担保等にて保全の充足が図られていること。

要件は、財務管理体制を問うものばかりです。個人保証は大変重たい制度です。個人保証を外すために、財務管理体制の見直しをしてはいかがでしょうか。ご相談ください。

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2018年3月16日 金曜日

『事業計画書を作成する目的』

『事業計画書を作成する目的』・・・金融機関に提出する事業計画書は返済の確実性を示すことが目的です。

事業計画書とは未来に向かって事業をどのように進めていくかをまとめた資料です。事業プランをまとめた「事業概要書」と、売上と利益の推移見込みをまとめた「数値計画書」で構成されるが一般的です。
インターネット等から、「事業計画書の書き方」等の情報を入手することは容易ですが、ひとことで「事業計画書」と言っても、その目的によって書き方が違います。まずは、ご自身が、何のために事業計画書を作成しようとしているのかを明確にしましょう。

■事業計画書を作成する目的の例
・自身の構想をまとめるため。
・従業員・株主等に会社のビジョンを示すため。
・金融機関から資金を調達するため。

自身の構想をまとめるために作成する事業計画書は、ご自身の思いのままに作成すればよいでしょう。見せる相手は自分ですので、自分が納得するように作成します。数値計画も、ご自身で実現可能と考える最大値で作成するのが一般的ではないでしょうか。

従業員、株主等に会社のビジョンを示すために作成する場合は、自社がいかに素晴らしい会社であるかを伝えなくてはなりません。消極的な計画では従業員の士気も上がらないでしょうし、投資家も魅力を感じません。従って数値計画は、希望的観測を含めて、少しオーバーに作成するのが一般的かもしれません。

気を付けていただきたいのは金融機関に提出する事業計画書です。誤解を恐れずに申し上げますと、金融機関に事業計画書を提出する目的は、会社の魅力を伝えることにより、返済の確実性を伝えることが優先されます。金融機関は、「資金があれば、優秀な人材が集まれば、ヒット商品が出れば・・・・日本有数のビッグカンパニーになれる。」といった、多くの前提条件の上に成り立った事業計画書よりも、「資金が獲得出来なかったとしても、優秀な人材が集まらなかったとしても、ヒット商品が出なかったとしても・・・・返済は大丈夫です。」という事業計画書を望んでいます。

また、金融機関からいくらの支援を取り付けようとしているのかでも計画書の内容は変わります。1,000万円の融資依頼に対して、世界制覇を目論む事業計画書を作成してしまうと、夢想家と思われてしまいます。この場合は、将来的には世界制覇を目論んでいるが・・・まずは1,000万円で県内制覇をするという計画を作成すること。」です。心がけて下さい。


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2018年3月15日 木曜日

『税金の対応指針』

『税金の対応指針』・・・税金を減らすのか、借入を増やすのか、二者択一です。

「税金とどう向き合っていくか。」というのは、財務の大きなテーマのひとつです。納税が資金繰りを圧迫することもありますし、税金に対する過度な意識が、会社の成長を妨げる要因になることもあります。税金に対して、どのように対処するのが正解でしょうか。

大多数の方は、支払う税金は少ない方がうれしいでしょう。しかし、支払う税金が少ない代わりに、銀行からの借り入れができなくなっては困るはずです。税金が少ないということは、利益が少ないということですので、銀行の評価は低くなります。「税金を減らすこと」と「借入可能額を増やすこと」は二者択一です。どちらに比重を置いて経営をするのか、自社の状況に合わせて方針を決める必要があります。

また、「税金を払わないこと」が目的になってしまうと、最も重要なキャッシュフローがおろそかになることがあります。税金を減らす手法として、保険や設備投資等、さまざまな方法がありますが、大半が素直に税金を払うよりも多くの資金を必要とします。財務の第一原則はキャッシュを切らさないことですので、節税が資金繰りを圧迫しないよう細心の注意が必要です。

消費税は、お客様から事前に預かっている税金です。法人税等は利益の35%程度です。普通に考えると払えないはずはありません。しかし、税金を楽に払えるという企業様は殆どいらっしゃらないのではないでしょうか。中には、資金をかき集めて納税をされる企業様も少なくありません。

納税が重たく感じられるのは、現金化されていない利益にも税金がかかっていたり、預り金や利益が、設備投資や借入金の返済に充てられたりしているためです。したがって、売上金の回収よりも支払いが先行する企業様や、在庫をたくさん持たなくてはならない企業様は、税金の支払いが苦しくなるのは当然です。

しかし、納税が苦しいからといって利益(税金)を減らそうと考えるのは大変危険です。利益を減らせば借入も出来なくなるため、成長資金が獲得できず、いつまでたっても零細企業から脱却できなくなります。納税が苦しいときの対処法はファイナンスです。利益が現金化されるまでの資金、設備投資が利益を生むようになるまでの資金は、しっかりと借入で対応しておけば、決算の時に慌てることはないはずです。

指針のまとめです。もし貴社が、安定した売上高と利益を毎期獲得できるくらい成熟していて、また、今後借入を活用して事業を伸ばす予定もない場合は、内部留保が優先ですので、キャッシュフローに影響がない範囲で節税を行いましょう。もし貴社が成長の途上にあり、今後も借入は不可欠であるという場合は、成長資金の獲得が優先ですので、思い切って利益を出すようにしましょう。但し、納税で資金ショートを起こさないよう、常日頃から資金調達はしっかりと行って下さい。



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2018年3月14日 水曜日

『エクイティファイナンスについて』

『エクイティファイナンスについて』・・・エクイティファイナンスの概要を説明します。

資金調達の手段は、デットファイナンスとエクイティファイナンスに大別できます。デットファイナンスとは、「借入」のことであり、エクイティファイナンスとは「増資」のことです。中小企業の殆どは、デットファイナンスによる調達が主体でありますが、エクイティファイナンスの仕組みを知ることで、調達の幅が広がる可能性があります。
エクイティファイナンスは、会社が新しい株式を発行し、株式を投資家に買ってもらうことで資金を調達する仕組みです。借入ではなく増資ですので返済の必要はありません。そのかわり、投資家には株式の持分に応じた権利が発生します。

エクイティファイナンスは、株式を買ってもらえる投資家が居てはじめて成立します。無償の支援を仰げる親族や友人は別ですが、投資家は何らかの目的があって増資を行いますので、投資家のニーズを的確に満たすことが、エクイティファイナンスの成功の鍵となります。

投資の代表として、ベンチャーキャピタル、投資ファンド、エンジェルなどが挙げられますが、これらの投資家の目的は「利益」です。取得した株式を将来第三者に高値で売却することが主たる目的ですので、会社が上場して株式が市場で売却できるようになること、もしくは、M&Aで会社を他の会社に売却することが大前提です。よって、上場やバイアウトの計画がない場合は、この手の投資家を呼び込むことはできません。

上場やバイアウトを考えていない企業でも、企業同士の関係強化を目的としたエクイティファイナンスは可能性があります。例えば、貴社が強い販売力を持っているとして、その販売力を魅力に感じるメーカーがあれば、貴社に投資をする動機になります。中小企業のエクイティファイナンスは業務資本提携が現実的です。

ただ、エクイティファイナンスにはデメリットもあります。業績が思うように進捗しない場合等は、株主との関係が悪化し、自分の思い通りに経営が出来なくなってしまうことがあります。このような時でも最悪の事態に陥らないよう、エクイティファイナンスは持分のコントロール(資本政策)が重要です。

弊社はエクイティファイナンスに関するご相談も承っております。

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